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【第1の話題】飢餓・伝染病・戦争を恐れた時代から、市民の互助として遭遇した心停止を救える時代へ

最終更新: 2019年5月22日


 

人類は数百万年の間ずっと、飢餓・伝染病・戦争に苦しめられてきました。大量の食料生産が可能になり、栄養や衛生が改善し、世界的な戦争を避ける活動によって、人々は、以前よりも、飢餓・伝染病・戦争に苦しまなくなってきました。(当然、ある地域ではそのような苦しみを受けている人々が居ることは、忘れてはいけません。) このような飢餓・伝染病・戦争の苦しみを乗り越える過程で、人類はお互いに「盗まない」「殺さない」などの合意を実践するようになってきました。つい最近まで、暴力や外傷は、人の死因として高率でした。そのようなお互いに「盗まない」「殺さない」合意が成り立つにつれて、暴力や外傷で命を失うことが少なくなってきました。 つまり、飢餓・伝染病・戦争という人類の長い間の苦しみを乗り越え、「盗まない」「殺さない」合意という、人類が長い歴史のなかで築き上げた素晴らしい約束のお陰で、今の私達は穏やかに生きているのです。 社会の状況は変化して、高齢化・人口減少・多死社会を迎えつつあります。そのような社会では、「盗まない」「殺さない」約束の他に、新たな約束が必要になると、私は考えています。それは「市民の互助として遭遇した心停止を救う」約束です。 いわゆる先進国には比較的以前より高齢化が生じている国々がありました。これらの緩やかな高齢化の国々に比べて、日本はこれらを遥かに上回る速さで高齢化しています。 かつては、ほとんどの作業が人の手に頼っていたので、人は子供を増やしてそのような労働負担を軽くしようとしました。昔は、「子供が多いと助かる」時代でした。その結果、人類史上、数百万年のわずか最近1万年の間に地上で500万人だった人口は最近70億人を突破するほど増加しました。しかしこの頃の作業は必ずしも人手を要するものでなくなり、「子供が多いと助かる」状態は変化し、親の経済状態によっては、子供を産まない選択もあります。それに加えて高齢者の比率が高まっているために、世界で20以上の国・地域では人口減少を迎えています。 日本を見つめてみると、現在日本では年間120万人が死亡していますが、2040年頃には年間160万人死亡が予測されています[https://bit.ly/2UYon20]。つまり、多死時代を迎えます。一方全国で年間12万人余りが心肺機能停止として救急隊員に搬送されています。年間死者数の増加に伴い、そのような心肺機能停止に伴う搬送も年間12万人から16万人に増えることも想定可能です。更には、全国の病床数は減少傾向のため、これまで病院で過ごしていた方々が病院外で過ごすようになり、病院外での心停止は今よりも増加する可能性が見込まれます。 高齢化・人口減少によって、社会経済は成り立ちにくくなり、過疎の地域は限界集落と呼ばれ、ある地域は消滅の危機に瀕しています。テクノロジーの進歩がそのような高齢化・人口減少による課題を解消する予測もありますが、すぐに成果を発揮するとは想像し難いでしょう。 このような高齢化・人口減少・多死社会を迎えると、私達にとってそれぞれの人の命が一層かけがえのない重要性を増す時代になって来ました。つまり、市民一人一人が命を救う知識・技能を持つことが、「約束」として当たり前の時代が求められるのです。


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